こんにちは。SWEET BITTER STUDIO原宿マネージャーです。 本日は「泣かずにはいられない、本当にあった話」を語ってみたいと思います。 やはり生活あっての趣味です。 そして趣味があっての生活、物語も実在します。 昔をふりかえって、とても心が温まるイイ話を紹介する。 そんな企画もスタートしたいと思います。 ************************* EPISODE1「父と娘」 「マ、マネージャー、き、聞いてください!!!」 あれは確か雨が降る6月の中旬にさしかかろうという頃でした。 塩原さん(仮称)がジムに飛び込んできました。 「む、む、中学生の娘がプレゼントをくれたんです!!む、む、娘が〜」 いつもクールで、どちらかといえば無口な40代半ばの塩原さんが、取り乱していました。 「塩原さん、落ち着きましょう。そしてよかったらその話、ゆっくり聞かせていただけませんか?」 私は松山ケンイチのようなスマイルを浮かべ(たつもり・・)、やさしく塩原さんをなだめました。 ジムに来ていた若い女性たちが、塩原さんの慌てた様子に驚きつつも、普段とのギャップがありすぎて滑稽だったのかもしれません。くすくすと笑っていました。 *********************** ○塩原さんの入会の動機 「あの・・。私が入会したキッカケは娘との喧嘩だったのです」 塩原さんが語り出しました。 「え!?そうだったんですか?確かトライアルの時は、ダイエット目的かつ、前からやりたかったとか、そんなカンジで言ってませんでした?」 マネージャーが松山ケンイチのようなやさしい微笑みをたたえながら聞きかえすと(もういいっちゅうねん!)、塩原さんは事情を語り出しました。 要約すると、ある時「もうパパと一緒に行動するのはイヤ!」と、娘さんが言い出した。 娘の習い事はもちろん、買い物や映画鑑賞も楽しく行っていたので、急にそんなことを言われて、面をくらった。そして次に娘さんに言われたのは「パパは、いいかげん自分の世界をもってよ。娘の世界につきっきり、子供のサポートが生きがい、そういうのもううんざり!」と泣いて訴えられた。 「当時はショックでした」 塩原さんは数年前を思い出して、いまだに残るショックを噛み締めているようでした。 「入会の時はね、そんなプライベートなこと言わないじゃないですか。でも、当時は自分も考えさせられましたよ。ホントに何にもなかったんですよ。自分には娘以外。。やけくそになって、じゃあ道場とかジムとか入ってやろうと思いました。あ、もちろん淡い興味はありましたよ。K-1とか好きでしたし。でもオトナになってやろうとは思っていませんでした。」 塩原さんは続けました。 「で、そんなスタートでしたが、いつしかハマっていました。面白くて面白くて。すぐには上手くならない。それが余計に楽しかった。だから週1のつもりが週3とか4にもなった。娘とは出かけられない寂しさを先に紛らわすために、土日のクラスにも出ていました」 塩原さんの話を遠巻きに聞いていた若い女性たちが、気がつけば私の横に並んでいました。 「で、塩原さん、娘さんがどうしたんですか?」 その女性たちの一人、OLのミナちゃんが尋ねました。 「はい、あれからもう一年が経とうとしています。もちろん家では会話もしていましたよ。普通に。でもなんとかいうか、ほぼ"没交渉"でした。味気ない会話だけをしあっていました。私がジムに行っている話はあえてしていませんでした。妻には格闘技の面白さを語るんですが、妻もちっとも聞いてくれないし・・そうやってこの一年が過ぎていたんです」 塩原さんの語りに、今度はやはりOLのリナちゃんが質問をもどします。 「で、娘さんがどうしたんですか?何かあったんですか!?」 他の一同も、そうだ、そうだ、、それで何があったのかと塩原さんに詰め寄りました。 塩原さんはしばらく沈黙をためた。 ジムには、Mr.Children の「Sign」が流れていた。 塩原さんの口元が震えました。 「む、むすめが父の日に手紙をくれたんです・・」 「そしてこう書いてあったんです。 パパへ。 この間は試合。お疲れ様でした。 わたし、こっそり会場に見に行ってたんだよ。 負けちゃったね。 パパ、すごく悔しそうにしてたね・・・もしかしたら泣いてた? わたしは、いっぱい泣いちゃったよ。 なぜなら パパがすごくカッコよかったから。。 そしてあんなに頑張ったのに、まけちゃったから。 わたしがいない場所で、いっしょっけんめい戦っているパパがいる。 すごくドキドキしたし パパの試合になる時がくるのが、ちょっとコワかった。 がんばれ!!って声に出して応援したかったけど かくれて行ったから。 でも、パパがひっしに戦っている姿がかっこよくて 負けちゃったけど、本当に本当にカッコよっくって あれがパパなの?って、声も出せないでいました。 でも、その分、たくさん泣いちゃいました。 パパ、おねがいがあります。 今度、いっしょに映画にいってもらえませんか? あの、、映画のチケットもちゃんと2枚入っていました。。」 塩原さんは娘さんの手紙を涙ながらに、時に声を詰まらせながら読み上げると、最後の言葉を吐き出すと、うわっと泣き出しました。鼻水もとめどなくでていました。 他のメンバーたちももらい泣きです。 塩原さんは最後にいいました。 「次の日曜日はクラス、お休みします」 うんうんと頷く、マネージャーと他のメンバーさんたち。 塩原さんは目をはらしつつも、晴れやかな顔でいいました。 「考えてみれば、初めてです。娘が自分から誘ってくれるなんて。。よーし、オレも次の試合は頑張るぞ!」
******************************* 今回のエピソードはこれまでです。 塩原さんはその日を境にもっともっと上達していきましたし、その2戦後に、勝つ姿を娘さんに見せてあげることができました。 ジムでは自分と向き合うことができます。 家族や恋人、友人たちとはちがう場所で、夢中になれるもの、打ち込むものがあることも大切なことかもしれませんね。 LIFE with "SWEET BITTER" またみなさんをスタジオでお待ちしています!
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